にのだん社会保険労務士事務所

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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和7年9月号(No.70)

【①焦らない、慌てない、急がない】

 「焦らない、慌てない、急がない」これは自分自身に言い聞かすための言葉です。先日の出来事ですが、盆前の8月11日に突然、一人暮らしの母が入院することになりました。前日、昨年亡くなった父が夢の中に現れ、こういった時は悪い予感というか実家に必ず帰らないといけないと直感し家に向かうと、やはり救急車を呼ばなければならない事態となりました。

 母が完全に回復するまで時間が結構かかりそうな中、お盆をはさむかたちとなり、自分の頭の中で「このあと〇〇をする」「次に〇〇をする」「そのあと〇〇をしなければ」など段々と予定を頭の中に詰め込むうちに自身の心の余裕が無くなってしまいました。そうなると行動の粗さや気持ち的にもイライラ感が増すなど悪循環に陥る寸前になりました。

 昨年、父が亡くなった時は心の準備や覚悟が既に出来ていたので、そこまで焦ったり、慌てたり、急いだりすることなく物事を進めることが出来ましたが、今回は予想していなかった「まさか」の出来事が突然発生し、自身の中で上手くコントロールすることが困難になりかけていました。その時、冷静にアドバイスをくれたのが嫁さんでした。

 そのあと自分の心の中で「焦らない、慌てない、急がない」をイメージすることで少しずつ落ち着いてきたような気がします。本来は母親のためにスピード感を持って行動すべき部分もありますが、これが自分自身の不器用なところでもあるので許してもらうしかないと感じます。

 仕事でも同じことが言えると思います。焦ったり、慌てたり、急いだりすると仕事の完成度が落ちて、時間を費やす、何度もやり直すなど非効率になる可能性があります。日頃から、使用者さんも従業員さんも「焦らない、慌てない、急がない」をお互いイメージすることが時には大事かもしれません。

【②地域別最低賃金1,000円超対策】

 8月に入ってから私の住む和歌山県においても、具体的な令和8年の地域別最低賃金に関する最新情報が入ってきました。

 現時点(令和7年10月1日~)での和歌山県の地域別最低賃金は、時間換算額980円ですが、令和8年11月1日より65円の上昇により和歌山県の時間換算額は1,045円に変更となります。(11/1勤務からの給与計算にご注意ください)

 最低賃金については、毎年事務所だよりでも取り上げていましたが、自身が求人広告紙の営業をしていた時代の時給600円台で募集していたことを思い出すと、この20年という長い時間とはいえ、最低でも時給1,000円超で人を雇わなければならない時代が来たというのは相当インパクトがあります。

 業界、業種により景気の良い悪いの違いがあるでしょうし、地域別最低賃金を設けてる(実際、和歌山県は近畿地方の中で最低賃金が一番低い)とはいえ、今の地域ごとの最低賃金が本当に地域格差を反映した正しい金額として設定されているのかを考えると、雇う側ではなく国が実態的な業種や地域の景気を無視して一律的に最低賃金を無理やり底上げしているような印象を強く感じます。

 とはいえ社会保険労務士としては決められたルールの中で、事業主が最低賃金法違反を指摘されないようアドバイスするしか出来ません。

 例えばですが「時間換算額を下回ることが出来ないのであれば、対策として現状のパート・アルバイトの勤務時間や日数を少なくしよう」と安易に考えるのは注意が必要です。もともと労働条件が決められている中で、雇う側が一方的に合意なく労働時間を少なくすることは不利益変更=雇用契約法に違反していると指摘されるリスクがあります。

 また「新しく採用するパート・アルバイトの労働条件の勤務時間や日数を少なくしよう」と実態に伴わない労働条件(必要な勤務時間や日数よりも明らかに少ない時間日数の労働条件)で雇った場合、万が一それがサービス残業や少ない休憩時間しか与えない、さらには年次有給休暇を与えない事態になれば、労働基準法違反になるのは明らかです。

 時間換算額はルールで決められている以上アップせざるを得ない、しかし、業務効率をアップして全体的な業務に必要となる人数や勤務時間や日数=人件費を抑制したいと考える時にぜひとも「業務改善助成金」の活用をご検討ください。高い助成率により、少ないご負担で業務を改善する設備等の導入が可能かもしれません。

~最後までお読み頂きありがとうございました~